大杉漣、2秒でオーディション終了

俳優・大杉漣は、劇団員時代に俳優を辞めて故郷の徳島に戻ろうかと考えていたときに、最後の試しとして、それまで受けていなかったオーディションを受けることにした。そのオーディションは、北野武監督の第4作映画「ソナチネ」のオーディションだった。大杉はその日、オーディションに遅刻してしまい、会場に着いたときにはすでに片付けが始まっていた。
大杉は、スタッフと雑談する北野監督の元に歩み寄り、謝罪したが、北野監督は2、3秒見ただけで「もう帰っていいですよ」と大杉を帰らせた。

 大杉は、オーディションには当然落ちたものと思っていたが、後日、北野監督から電話があり、「あんたで行くことにしたから」と合格を告げられた。

 「ソナチネ」で大杉は、北野監督の「全部アドリブでやって」という指示に対し、ヤミ金の取り立てを好演。北野監督は「うめえな、この人」と感心し、本来ワンシーンのみの出演のはずが、脚本を書き換えて大杉の役を大きくしたという。

 その後、大杉は北野作品10作品に登場する常連出演者となる。大杉最後の出演映画も、北野作品の「アウトレイジ 最終章」(2017年)だった。

 北野監督は「最後の『アウトレイジ』もね、出てもらってんだよね。結末は、漣さんが、その…、申し訳ないけども、死ぬ役なんだよね。だから、すごい変な言い方、俺が生かして俺が死なせたみたいな、妙な気になって。悲しいけどねえ、なんか申し訳ないと思ってさ」と思いを語っていた。

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