ジョゼ・モウリーニョ監督は、2004年夏にチェルシーの監督に就任すると、オーナーのアブラモビッチ氏に獲得したい選手を数人挙げた。結果、クロード・マケレレをレアル・マドリードから、エルナン・クレスポをインテルから獲得。それらの大物に比べれば、マルセイユから獲得したディディエ・ドログバはまだそれほど有名選手ではなく、そういう意味では知名度に比べると高額な移籍金だったかもしれない。
モウリーニョとドログバの関係は、モウリーニョがポルトの監督を務めていた2003-04シーズン、チャンピオンズリーグのグループステージでマルセイユと同組になったことを機に始まった。
モウリーニョは、マルセイユとの対戦前に視察を行い、マルセイユでパリ・サンジェルマン戦を観戦し、ドログバの持つ大いなる可能性に驚嘆した。
ポルト対マルセイユ戦の当日、モウリーニョはキックオフ前に入場通路でドログバを捕まえ、「残念ながらポルトには君を連れて来られるほどの予算がない。だからコートジボワールで埋もれている君と同じぐらいフットボールが上手な従兄弟でも紹介してくれないか?」と声をかけた。ドログバは、そのたくましい腕をモウリーニョの肩に回し、「確かにポルトの予算では僕と契約できないかもしれません。でも、こうして話しかけてくれたあなたがもしそれだけのお金を持っているビッグクラブに移ったら、そのときは一緒について行きますよ」と答えた。
そのシーズン、モウリーニョはポルトでチャンピオンズリーグを制し、ドログバの言葉通り、ビッグクラブ、チェルシーへと映った。チェルシーに移って、モウリーニョがはじめにしたことは、ドログバを獲得する交渉だった。それぐらいモウリーニョにとってドログバの印象は色濃かったのだ。
その後、二人は3シーズンを共に過ごし、プレミアリーグ連覇など輝かしい成績を残した。
また、2013年夏、再びチェルシーに戻ったモウリーニョは、2014年夏に再びドログバを獲得した。